T4-HOUSE

『T4-HOUSE』にお住まいのクライアントがコラムを執筆してくださいました。
次々と立ちはだかる様々な問題に立ち向かい、土地を購入して家が完成するまで一般的なケースの数倍の時間が掛かった住宅ですが、そんな苦労も今は昔、毎日の生活を楽しんでいらっしゃるようです。
残念ながら建物の詳しい紹介はまだ掲載できていませんが、リビングの吹き抜けにある大きな窓から雲の流れを眺めながら食事ができる住宅です。

01 我が家でごはん

2002.11.06
今年7月に新居に引っ越してちょうど3ヶ月。我が家の2Fに位置するダイニング · キッチンは、とにかく気持ちがいい。昼間は大きな窓から陽がさんさんとふりそそぎ大きな空や鳥や富士山が見え、そして夜はきらきら光る夜景が楽しめる。夫の熱意と山嵜建築研究室のクールな情熱が造り上げた、この家のちょっと自慢の空間である。
共働きの私たち夫婦にとってなによりの楽しみは、ここで一緒に食べる夕ごはん。家に帰り「今日は何が食べたいかなあ」と冷蔵庫を開けて野菜類をあれこれと出して、洗ったりしていると、自分がだんだんと“おそとモード”から“おうちモード”に切りかわり、やっとリラックスし始めるのがわかる。家に着くまでは「今日は疲れたからお鍋にしよう」と思っていても、そのリラックスモードのスイッチがオンになると急に「食」へのテンションが上がり「いや、もっと美味しいものが食べたい、やっぱり、ブリの照焼きに、れんこんと糸こんぶのうま煮、ほうれん草のサラダ、オーブンで小松菜とベーコンの簡単キッシュを焼いて、チーズの盛り合わせにこんがりトマトトーストを添えよう、最後にごはんとおつけもの、岩のりとたまねぎのお味噌汁」とメニューを変更し、大ハッスルしてパタパタと作る。
タニコ−の業務用ガスコンロは、夫の強い要望によって設置されたもので、火力が非常に強く何でもあっという間に調理できてしまう。コンロと一体型のオーブンは温度表示のみというシンプルな作りで、中もひろびろ。一度ベーグルを作った時は、大きなベーグルを一度に8個も焼くことが出来た。このガスコンロが我家の料理時間短縮に貢献していることは間違いない。家に遅く帰ってきた、でも野菜がたくさん食べたい、というときなど、とにかく野菜をざくざく切って耐熱の大きな皿に並べオーブンで15分。食べる直前にオリーブオイル、好みで塩やペッパーをかければ「グリル · ド · ベジダブルトスカーナ風?」の一丁上がりである。 ( ただしトスカーナ風をうたうには、赤か黄色のピーマンは必須。肉気が欲しい時はもも肉に塩をもみもみしレンジで2分、ローズマリーを散らし野菜と一緒にオーブンへ。 ) 
夫が帰ってきたら、さあ、ご飯。私達はお酒があまり強くないが、夕食には必ず少しだけ何かしら飲む。夫が赤ワインを二人分、少しだけそそぐ。あれこれと食べながら、今日はどうだったか、お昼は何を食べたか、など、たわいもない会話をする。6人がけのダイニングテーブルから、大きな窓の向こうに光が流れるように電車が走っているのが見える。私たちが最も好きな時間。引っ越してからというもの、夕食に費やす時間が以前より長くなった。ゆったりとした空間だからだろう。こうやって、毎日一緒に夕ご飯を美味しく食べられる、なんて幸せなんだろうと思う。以前はマンション住まいだったのでキッチンも狭かったが、特に不満はなかった。でも、山嵜さん堤さんの助言を最大限に活用して作られたこのキッチンは間違いなくはるかに快適でよく出来ている。そんなキッチンにいれば創作意欲がかきたてられるのも、当然のことだ。
さて今晩のメニューは、

かぼちゃのポタージュ

たまねぎみじんぎりをバターと油でよく炒め、皮をむいた乱切りのかぼちゃを加え、指でくだいたビーフコンソメ、ターメリックひとつまみ、を一緒に炒め、水を加え弱火で15分。ミキサーにうつしペースト状になったら、鍋に移し弱火で温め最後に生クリームを加える。これはさつまいもにも応用可。寒い日に食べるととっても幸せになれる。

ハンバーグドミグラソース、マッシュポテトとチンゲン菜添え

ハンバーグ、2人分小型なら6個、大型なら4個を焼く。裏返した時に半カップの水を加えジュウジュウさせる。ボウルにお湯1カップ弱、ビーフコンソメを入れ溶かしケチャップ、とんかつソースを大さじ2杯ずつ加え混ぜたらハンバーグの上にかけ1分ほど煮込めば出来上がり。マッシュポテト、ジャガイモの皮をむき適当にきって柔らかくなるまで茹でる。水がまだ余っているようであれば捨てて水分をとばすように鍋をゆする。塩少々、バター大さじ1を加え、マッシャーがない我が家ではごますり棒でつぶす。もっと滑らかにしたい場合は牛乳大さじ1を加える。チンゲン菜、さっと茹でる。小さい葉はそのまま多きい葉は短冊に切る。マッシュポテトとともにデミグラソースを時々混ぜ混ぜしながら食べるとオイシイ。

レタスとバジルとパルメザンのサラダ

フレッシュレタスを氷水でパリッとさせておく。レタスとバジルを皿に盛ったら上からパルメザンチーズ塊を皮むき器でシュルシュル切りたっぷりのせる。食べる時に自分でレモンをかけ、オリーブオイル、塩、ペッパーをひく。料理という程ではないが、これは新鮮なレタスを最も美味しく食べる方法だと思う。美味しい新鮮なレタスが手に入ったら、是非。
今日は洋風かな? それでも最後にごはんを自家製ちりめん山椒で少しだけいただく。こういうことは、外食ではできない。
チーズの盛り合わせやオリーブを食べたあとに納豆とあったかいごはんが食べられるところなんてないし。だからお家でご飯はやめられない。家が、空間が、毎日の生活に色を添えてくれる。近所の外観と調和しながら私たちを暖かく守ってくれている。家に帰って着替え2Fのダイニングキッチンへ行く階段を上がる時、私の顔はいつもニコニコ。「大好きなキッチンよ、毎日よく働いてくれてありがとう。これからもどうぞよろしくね!」
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