T4-HOUSE
02 我が家でごはん 「我が家でごはん おばあちゃんと一緒」
2003.07.10
昨年7月に引っ越してから、早くも一年になろうとしている。この家と共に冬を越え、春を喜び、そして今度は梅雨を一緒に乗り切ろうとしている。
夏を本格的にむかえる頃、ちょうどこの家も1歳?になる。
寒い冬の朝のキッチンに南の窓から朝陽がサンサンとさしこみ、山嵜さんは天才だ、と思った。
春の雨が降り出す瞬間、静かな雨音と共にリビングの高い天井から少し冷えた空気がシャワーのようにサーッと降りそそぐ。
それは神秘的ですらあった。
家が私たち夫婦に自然と共に暮らす楽しみを教えてくれている、と日々実感しながら生活している。
寒い冬の朝のキッチンに南の窓から朝陽がサンサンとさしこみ、山嵜さんは天才だ、と思った。
春の雨が降り出す瞬間、静かな雨音と共にリビングの高い天井から少し冷えた空気がシャワーのようにサーッと降りそそぐ。
それは神秘的ですらあった。
家が私たち夫婦に自然と共に暮らす楽しみを教えてくれている、と日々実感しながら生活している。
話しかわって、昨年11月、小田原に住む大好きな祖父が他界した。
生前、祖父は私たちの家ができることを楽しみにしていたが、一度も遊びに来ないまま天国へ行ってしまった。
そのことが心残りだった私たち夫婦はせめて祖母だけでも遊びに来て欲しいと、祖母を誘うのだが、なかなか腰をあげてくれなかった。
生前、祖父は私たちの家ができることを楽しみにしていたが、一度も遊びに来ないまま天国へ行ってしまった。
そのことが心残りだった私たち夫婦はせめて祖母だけでも遊びに来て欲しいと、祖母を誘うのだが、なかなか腰をあげてくれなかった。
今年米寿を迎える祖母はひざが痛いからという理由で滅多に外出せず、祖父のこともあり出かけるといえばお墓参りくらいだった。今年5月下旬、実家に遊びに行くため、私はいつものように東海道線で小田原駅に着いて、驚きの声を上げた。
長年かかった駅の改修工事が終わったらしく、駅全体がピカピカで見違えるようなのだ。
至る所から太陽の光が射し込み明るく、駅の天井は小田原名物カマボコを思わせるアーチになっている。
私はこの見違えるような生まれ変わった建物を、祖母に見てもらいたくて、お墓参りの帰り道、むりやり小田原駅に連れていった。駅は実家から車でわずか5分足らずのところだ。
長いエスカレーターで駅構内に上がった祖母は駅を見上げ目を丸くして驚いた。
「これがあの小田原駅かい? 見違えるねえ!」 と頬を紅潮させた。
せっかくだからと駅構内の喫茶店で一緒にお茶をした。
祖母は嬉しそうに、自分の驚きを繰り返し語り、美味しそうにホットチョコレートを飲んだ。祖母はこのお出かけをきっかけに、前よりも気持ちを外に向けてくれるようになった。
長年かかった駅の改修工事が終わったらしく、駅全体がピカピカで見違えるようなのだ。
至る所から太陽の光が射し込み明るく、駅の天井は小田原名物カマボコを思わせるアーチになっている。
私はこの見違えるような生まれ変わった建物を、祖母に見てもらいたくて、お墓参りの帰り道、むりやり小田原駅に連れていった。駅は実家から車でわずか5分足らずのところだ。
長いエスカレーターで駅構内に上がった祖母は駅を見上げ目を丸くして驚いた。
「これがあの小田原駅かい? 見違えるねえ!」 と頬を紅潮させた。
せっかくだからと駅構内の喫茶店で一緒にお茶をした。
祖母は嬉しそうに、自分の驚きを繰り返し語り、美味しそうにホットチョコレートを飲んだ。祖母はこのお出かけをきっかけに、前よりも気持ちを外に向けてくれるようになった。
そしてとうとう6月の第2週の日曜日に私の父と母に連れられて祖母は我が家にやってきた。
玄関が地下一階という構造のため、一階に上がるにはらせん階段を登るのだが、多分祖母をおんぶしてあげないといけないだろう、と私たちは事前に話していた。
一度遊びに来た事がある親戚たちも、多分あのらせん階段を上がるのはおばあちゃんには無理だろう、と皆話していた。
ところが! 彼女は自分の意志で手すりにつかまって一歩一歩上がった。
さらに一階からダイニングキッチンのある2階の直線階段も祖母は手すりにつかまり、上を向き一歩一歩進み、とうとう上がりきった。
そして大きな窓に近づき、景色を眺め「まあ、まあ、立派だねえ!!」と弾んだ声で喜んだ。
そして天井の高いリビングのソファに座り上を仰ぎ、家が見事だと絶賛した。
屋上への階段も目を輝かせながら上がった。
お昼ごはんを食べながら、大きなテーブルが空間にぴったりあっていると何度も言った。
設計士の人がすごい、いいところに陣取った、小田原の家の3分の1の広さもない土地の上に立っているにもかかわらず、こちらの方がはるかに広く見えることなど、しきりに感心した。
こうして念願の祖母の訪問は大成功に終わり、家族みんなが祖母の元気ぶりに大喜びした。
玄関が地下一階という構造のため、一階に上がるにはらせん階段を登るのだが、多分祖母をおんぶしてあげないといけないだろう、と私たちは事前に話していた。
一度遊びに来た事がある親戚たちも、多分あのらせん階段を上がるのはおばあちゃんには無理だろう、と皆話していた。
ところが! 彼女は自分の意志で手すりにつかまって一歩一歩上がった。
さらに一階からダイニングキッチンのある2階の直線階段も祖母は手すりにつかまり、上を向き一歩一歩進み、とうとう上がりきった。
そして大きな窓に近づき、景色を眺め「まあ、まあ、立派だねえ!!」と弾んだ声で喜んだ。
そして天井の高いリビングのソファに座り上を仰ぎ、家が見事だと絶賛した。
屋上への階段も目を輝かせながら上がった。
お昼ごはんを食べながら、大きなテーブルが空間にぴったりあっていると何度も言った。
設計士の人がすごい、いいところに陣取った、小田原の家の3分の1の広さもない土地の上に立っているにもかかわらず、こちらの方がはるかに広く見えることなど、しきりに感心した。
こうして念願の祖母の訪問は大成功に終わり、家族みんなが祖母の元気ぶりに大喜びした。
翌日、さすがに疲れたのでは、と祖母の健康が気になり電話をすると、はつらつとした声で彼女はこう言った。
「昨日はすっかりお世話になったねえ。小田原にいても、こう目をつぶるとね、昨日見せてもらった二人の家がよーく思い出せるんだよ。入るとこう階段があって、台所のテーブルはこうなってて、洋間がこうあって、赤いソファがこうあって、窓の景色がこうで、こちらの方にも大きな窓があって、って。立派な家だよ、あなたは運がいいよ。」
祖母の嬉々とした声を聞いて、私は少し胸があつくなった。
本当に嬉しかった。
「昨日はすっかりお世話になったねえ。小田原にいても、こう目をつぶるとね、昨日見せてもらった二人の家がよーく思い出せるんだよ。入るとこう階段があって、台所のテーブルはこうなってて、洋間がこうあって、赤いソファがこうあって、窓の景色がこうで、こちらの方にも大きな窓があって、って。立派な家だよ、あなたは運がいいよ。」
祖母の嬉々とした声を聞いて、私は少し胸があつくなった。
本当に嬉しかった。
誰にとっても我が家が一番。祖母だって東京から車で小田原の家に帰り着いて「やっぱりわが家が一番」と思ったはずだ。
それでも、そう言ってくれたのだ。
この家に来たことをきっかけに、祖母は間違いなく若々しくなったようだ。
祖母にとっては今まで見たこともない間取りや造りは、彼女の感性をおおいに刺激してくれたらしい。
私は家にそんな力があるのだということを今回始めて知った。
そんな我が家でこれから、明日、3年、10年、20年と、一緒に歩む毎日が楽しみでしょうがない。
それでも、そう言ってくれたのだ。
この家に来たことをきっかけに、祖母は間違いなく若々しくなったようだ。
祖母にとっては今まで見たこともない間取りや造りは、彼女の感性をおおいに刺激してくれたらしい。
私は家にそんな力があるのだということを今回始めて知った。
そんな我が家でこれから、明日、3年、10年、20年と、一緒に歩む毎日が楽しみでしょうがない。
最後に今回のメニューは、祖母が来たときに用意したメニューで題して
「おばあちゃんと一緒にお昼ごはん」
· ざる豆腐、薬味いろいろ添え
· ローズマリーポテト
· 小松菜のキッシュ
· 甘海老のさしみ、アボガド添え
· 白菜とツナのサラダ
· ちらしずし、鯛、まぐろ、のっけ
· かぶと大葉の酢の物
· しじみの赤出汁
· 果物 ( パール柑 )
· ホームメード焼きプリン 祖母の好物は甘海老。
· ローズマリーポテト
· 小松菜のキッシュ
· 甘海老のさしみ、アボガド添え
· 白菜とツナのサラダ
· ちらしずし、鯛、まぐろ、のっけ
· かぶと大葉の酢の物
· しじみの赤出汁
· 果物 ( パール柑 )
· ホームメード焼きプリン 祖母の好物は甘海老。
今回は祖母のことを考え、全体的に柔らかいものばかりにしたので、ちょっと退屈な触感だったかもしれない。
どれも残さず食べてくれた祖母。
今度来た時には、貝柱と大葉をくるくるっと巻いた細身の揚げ春巻きなんて、喜んで食べてくれるかも、と考えている。
どれも残さず食べてくれた祖母。
今度来た時には、貝柱と大葉をくるくるっと巻いた細身の揚げ春巻きなんて、喜んで食べてくれるかも、と考えている。