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05 家を建てるプロセス  「子どもとの距離」

2004.05.19
先日、またまた取材を受ける事になった。
テーマは子ども部屋という事。
取材はGW最終日の日曜日だったのだけれど、夫が前日に出勤だったし、
その3日前に掃除機をかけたばかりだったし
我が家は共稼ぎで家にいる時間が少ないので
基本的に、週末しか掃除機をかけません。
日曜は雨が降るとの予報だったので、
棚がごちゃごちゃしたのをちょっとディスプレイして
公園、図書館、買い物と日曜の取材の子ども対策にレンタルビデオショップに行った。
子ども部屋といえば、
山嵜さんに設計の依頼をする際、
家に求めるものをかなり細かく言語化していたのだけれど、
2度目の打合せだったか、突然
「で、子どもとの距離はどうされますか?」と聞かれた。
子どもとの距離というのは、何の事?
子どもとの関わり方?教育方針???
それは、
親子で一緒に寝るか?
子どもの気配をどの程度感じたいか?
勉強はどこでするか?
子ども部屋は必要か?
兄と妹の異性兄弟の子ども部屋をどう考えるか?
との問いかけだった。
それに対する、私達の答えはこうだった。
玄関から子ども部屋に直行できるようなつくりにはしないで欲しい。
何故なら、子ども部屋は子どもの為のワンルームマンションではない。
リビングなど他の家族がいる場所を通るようにして欲しい。
子ども部屋に洋服、おもちゃ、テレビを置く事はしない。
そういうものを置くから、臭い靴下や、しわくちゃになった洋服が
部屋の隅から出てくる事になり、部屋が片付かない。
子ども部屋は子どもの所有しているものを管理させる為の空間ではない。
子ども部屋は子どもが一人で遊ぶ場所ではない。
タダでさえ少ない家族時間に、家族から離れて、自室で娯楽を楽しむのは
読書ぐらいにして欲しい。
テレビなんて無くても、むしろ無い方がずっと人生が楽しめる。
見たいなら、リビングで楽しみなさい。
子ども部屋は明るい事。
暗い部屋で一人でいるから、良からぬ事を考える。
広すぎない事。
広いと勉強に集中できない。
職場のパーティションで区切られた
デスクスペースぐらいが、最も集中力が増す。
仕事や勉強にもコミュニケーションは必要だが、
それは、職場で会議室やトークルームリフレッシュスペースがあるように
ダイニングやリビングで行う。
子どもの頃、押し入れが大好きだった。
ドラえもんのように、押し入れで寝るのが大好きだった。
子どもたちも、実家に行くと、布団を敷いて、
押し入れスペースを空け、秘密基地にしている。
だから作りつけの2段ベッドを採用して欲しい。
但し、異性兄弟なので、ベッドは相手の部屋から隔絶されている事。
成長しても窮屈でないヘッドクリアランスを確保する為に、天井を高くとって欲しい。
ベッドで本を読むのは楽しい。
ベッドに読書灯を付けて欲しい。
じゃあ、子どものおもちゃはどこにあるの?
子どものおもちゃはリビングにあります。
壁一面のリビングボードにリビングで遊ぶおもちゃが
お絵かきや工作、トランプなどの机でする遊び道具は
ダイニングの近くの収納にあります。
子どもの服は、洗面所にあり、制服を着るようになると、
制服は1Fのクローゼットに置く事になるでしょう。
子ども部屋とは、子どもが静かに一人で
寝たり、勉強したり、読書したり
一人ですべき事をする個人スペースという考え方だ。
今は息子が小学校2年生、娘が3歳なので、
お国柄にもよるが
一人ですべき事は殆ど無いので、
ベッドには布団があるが、両親と一緒に寝ているし
宿題などはダイニングでやっているので、
ベッドは沢山の頂きもののぬいぐるみたちの為のものだし、
普段使わない学用品や自分の作品、思い出の品を
ディスプレイするスペースとなっている。
一人で勉強したくなるのは、早くても小学校4年
遅ければ、高校生ぐらいになってからだろうと思う。
それまでは、子ども部屋は秘密基地の役割を演じそうだ。
娘は気に入ったものをベッドに仕舞いこむ。
まるで巣みたいに。
どこの家でも、多分子ども部屋は子どもの巣なのかも知れない。
我が家のパパの巣は1Fにある。
その話はまた今度。
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