U2-HOUSE

08 家をたてました 「表装 ( ヘルツォーク&デ · ムーロン ) 」

2003.07.10

夏休み

40代になって休みがいっぱい取れるわけではないけれどいいものです夏休み。
夏が近付くとフランス人は今年はどうするのとまあ社交事例のように話題にのぼるバカンス。
日本じゃそんなこと言っていたらおバカンスにされてしまうけど。
しっかり休みたいものです。
建築業界さんはお忙しい社会だから休みなしでしょうけど。
妹島和世さんのアトリエは夜勤社会で身体悪くしそうだな。
本人はよいとして周りのものもよく付いて行くよなあ。
好きで入ったと言ってしまえばそれまでですが会社側としてはそれでは…のような気がします。
安藤忠雄さんも目の下、隈ができてるし…。
ひと昔前は出来る人は睡眠時間3時間でスーパーマンの様に働ける(いつでもテンション高く、つまりso-状態 ) のが素晴らしい人物とされていましたが。
何か違うような気がしますし、僕らは凡人で十分だから7時間ぐらいは眠ります。
寝ている事は別に好きではないけれどメリハリ付けた人生のがいいなあ。
最近じゃ加藤和彦さんですら午前中に仕事をこなすそうですよ。
理想的には午前中にクリエイティブや重要な仕事は済ませて、午後は頭を使わないデイリーな作業が出来ればいいんだけど。
週に2度ぐらい、5時あがりは理想だけど6時までには仕事を済まして、まだ明るいうちに事務所の扉はあけたいよね。
ついでを続けるとまっすぐ帰ってワインと食事もいいし、ちょこっと引っかけるのもよし、8時には帰りましょう。
11時までには寝ましょうね。 ( 大きなお世話です。がっはっは ) 
ヘルツォークと言えば · フィツカラルド · と言う映画を見た事があるだろうか。
余りの愛と言おうか余りのエナジーと言おうか、アマゾンの奥地にオペラハウスをおっ建てる夢を現実に向ける狂心的建築家のお話です。
ヘルツォーク ツナガリで引用しましたが巨大な愛とは、ダイナミズムとはが、根源的に何か分かる様な気がする映画です。
別にヘルツォーク&デ · ムーロンを建築的に語ろうなんて思っている訳ではありません。 ( もちろんできません。 ) 
が我が家はRC打ちっ放なし。表装を構造体で表します。
山嵜さんは事務所で我が家を「素の家」と呼んでいたそうですが ( 内部がガランドーと言う事もありますが ) 素直な表装と言う事もその由来に起因するのでしょう。
木造だったら木の表装のイメージ、鉄骨だったらスティールなイメージ ( カーテンウォールのガラスも含めて。 ) 
素直な表装とはそういう事なのでしょう。
しかしいずれにしろ表装は現われる。
たとえそれが躯体そのものでも。
所詮それがイメージならば逆手に取って、ヘルツォーク&デ · ムーロンよろしく青木淳さんの表装も頷ける。
表装の操作はありだと思います。
ディープに根源方向に沈んで行く方もありですけれど、表装をひとつずつ処理して行くのもやはりありな様な気がします。
論理の追求 ( 近代西洋的哲学路線で物自体を見つめて真理を探究する。 ) も表装の処理 ( ファッション界の様にまたは日本的形から入って行く〈茶道、華道等の様に〉 ) も結局同じものを求めている様な気がします。表装を一つ一つこなして行く優しさは気持ちいいものです。
現在ではこの方が身軽でいいものが多い感じすらします。
しかし実際に表装を操作するにはかなり知的な作業をともないます。 ( お金もかかります。 ) 
シンプルな方が楽なのであります。
そんなこともあり我が家はRC打ちっ放しの表装にひろみGOになりました。 ( 注;いろいろ施主がちょっかいを入れている訳ではありません。基本的には山嵜さんのプランにうなずいて来ているだけですよ。僕らは山嵜さんにNOと言われた事を押し進めてはいません。説得はしますが無理やりはしていません。 ) 
話は飛びますが、表装は何でもありでかまいませんが、よく見かける建て売り住宅の表装はまさに張りぼてぽいですね。
 ( 関係者のみなさまごめんなさい。所詮素人の考えです。 ) 
マーケティングはすごいし頭が下がりますがデズニーランドよろしくの張りぼてはここがどこなのか、一体貴女は何なのか、究極的にまで人間を追い詰めます。
木造躯体にフェイク石の南欧風張りぼて、鉄骨躯体にコンクリート盤を石風にした ( 僕には石と言うよりプラスッチックにしか見えないが ) フェイク石や煉瓦作り。そこまでいくならもうちょっと批判精神でも入れて操作すれば ( かえってかっこわるいかも ) 志村けんできるのにと思ったりもします。
またまた飛びます。
ヘルツォーク&デ · ムーロンがポストモダン的建築と違うのは、たとえば初期の作品のブルーハウスでも青く塗りつぶされた煉瓦にはテクスチャーを奪われてはいるがその物としての存在があるそうだし ( 見たわけではございません。 ) 、やり過ぎではあるがジッパーの表装 ( 表装の表装と言う事か? ) までついているのです。
ポストモダン的建築がテクストを見る側が♪ ( 記号 ) として変換することをあまりに無意識に行っているのに対して、物を物として捕らえ、それが受け手のイメージの物であることを分かっていて、建物と人間の関係性の中でことを捕らえているのでしょう。
表参道に作っているプラダのビルもそうなるのかなあ? ( もちろん用がないので行きませんが。 ) 
その次の回はデコン ( 脱構築 ) の事でも書こうかなあ。でも我が家はポストモダンでもないから関係ないと言えば関係ないなあ。近代建築の基本に根ざした現代建築なのであります。だよね?
構造は表装に、表装は構造に、屋上は構造に、屋上は表装に。何がなんだか分からなくなったところでお開きにいたします。
へ理屈多くて で · 無論、すんません。
-P.S.-
この10年位、6、7月に夏休みを取ります。東京の始まりの猛暑が最近、身体にこたえます。 ( 甘ちゃんですいません。 ) 
昔はグラナダ、ジャマイカ等焼けつく様な所に行って8月の東京なんてちょろいなんて強がっていましたが今では逃げるように、とりあえず1年のたまった仕事疲れと、蒸し暑さから逃れるようにこの4年軽井沢に行きます。
夏の軽井沢は好きです。本当の良さは冬だと地元お住まいの方に言われることもありますが、バカンスぽく、ちょっとちゃらちゃらしてる部分と静けさとのバランスがいいなあと思います。
懐の深さ、円熟した避暑地です。
どっかんと純な自然というよりは都会的な自然とでもいうのでしょうか、甘ちゃんな僕らには居心地いいです。
紀伊国屋はつぶれてしまいましたが地元のスーパーが紀伊国屋化して使えますし ( ツルヤさん ) 、軽井沢おきらく組のおきらくなおいしい店や三ツ星級高級レストラン、もちろん良心的な洋食屋さんやそば屋。見晴し台近くの昔ながらのだんご屋さん、天然氷のかき氷屋さんいいです。 ( 食べ物ばかりでごっざぁんです。 ) 
レイモンド、ヴォーリズや吉村順三の建築 ( 本当ははどうでもいいが建築家さんのホームページなのでいちよう…。 ) 、西武美術館やメルシャン美術館などの良い美術館 ( しゃら臭い美術館も多いけど ) 、なりよりも日本的なしっとりした陰鬱な空気の中の散歩。 ( 日本人は乾きには弱いのです。 ) 
好きです。
ソニーの元名誉会長様が退職金を全て軽井沢の音楽ホール作りに寄付されたそうですが音楽ホールとそれとともない、いい音楽祭やいい音楽があれば言う事なしです。
まとまった夏休み取ってみてはどうでしょう。 ( 大きな お せ わ。 ) 
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