U2-HOUSE

10 家をたてました 「問題点 ( 設備や家具・・・ ) 」

2003.10.05
こんなお題目だと建築家さんは目をつり上げてしまうかもしれませんが、コンクリート打ちっぱなし、いやいや一戸建て作りっぱなしではいけません。当たり前ですがどんな家にも幾つかの問題はあるものです。家を建てる時、経験者の話で参考になるのは問題点だと言われることも多い様です。一回切りの体験ではございますが実生活者が感じていることをなるべく感情抜きに羅列してみようと思います。そっと建築家さんに教えることより、問題を共有したほうがこれからの施主さまのために、またこれからの設計家の方にもいいのではないのかなと考えましてあえて書いてみます。
これから施主になられる方は勘違いしてほしくないのではじめに言っておきますが、山嵜さんの設計の我が家はとてもいい家です ( 手前味噌 ) 。経済的にもいろいろな努力をしていただきました ( 感謝感謝です ) 。個人的な感想ですが山嵜さんはなかなか建築的自我が強い人だと思いますのでしっかりやりあってください。
品格のあるいい家ができると思います。

設備

 · コンセント位置
基本設計の途中でプランを提示されたので、引渡し時にはうまく対応できないものがある。
ベッドのヘッダーがケーブルジョイント部にあたり隙間ができた。
デスク位置の下に電話のジャックがなかった。
屋上のコンセント口が通路にあり、使う時に注意を要する。 ( 足を引っ掛ける。見た目もきれいでない ) 
洗面、風呂の調光があるといい。 ( 起きた時の風呂、眠る前の風呂、光によって体に与える影響も違う ) 
ベランダの蛇口はあると便利 ( 花木の水遣り ) 
コンセント位置などは基本設計の途中で提案があり、考えてくださいと渡されたが、住み方が分からなかったので僕らでは無理でした。引渡し時にはベットの位置も変わっていて、設計家にもコンセント位置が家具の置き場にどのように影響するかは分からない、つまりたいした事ではないぐらいに割り切った方がいいのかもしれません。
対処法としてはコンセント位置の設計段階で住み方自体を施主と設計家で話し合うことはよくあるこの手の問題をある程度減らせるかもしれません。住み方まであまり介入して欲しくないのは多分多くの施主さんが思う事でしょうが、しかし設計家はベットの位置や寝室はどこと思い描いているものも事実です。住み方の研究を双方話し合うことはいいのではないだろうか。ぽんと渡しただけでは深くはならないし。またCGによるバーチャル体験等はいくらか役に立つのかもしれないけど、決していいとも思えないんだよね。コンセント位置を決定する実務の最後の段階で、もう一度見直しができる余裕があればしたほうがいいかもしれない。
 · ダクトファンの効果
ダクトファン ( 暖気や新鮮な空気を巡回させるため、二階上部の空気を地下に送るもの。 ) 
我が家は縦型ワンルームの様なものなので全階一体で空調を考えるというアイデアの中で設置されましたが、冬場は暖気にならず冷たい空気のままで寒くなってしまう。また風圧は割と強く空気が乾いている冬場では余計に乾燥させてしまう ( のどがやられる ) 。春、秋、夏は2階の南面、北面の窓をあけるので、 ( 風が通って気持ちいいです ) 換気は十分できるので、あまり必要を感じない。夏の暑い時で ( それでも地下は、本当に涼しい ) 二階でエアコンを使う時は自然に冷気が下に向かうので使っていてピントこない。ダクトファンの逆回しは意味がなかったのか等 ( クールチューブとして ) 空調設備の研究はまだ余地がありそうです。
暑さ寒さは直ぐに体感できますが、空気の質まではなかなかわからないのでまた1年様子をうかがいながら使える時に動かそうと考えています。それにこういうのって何かオモチャみたいでかわいい感じもしますしね。
OMソーラーという設備があります。簡単に言うと屋根に取り付けた集熱板で外部から取り入れた空気を暖め、ダクトファンを使って家の基礎に送り蓄熱層を暖め、床面から温まった空気を室内に送るもので、夏の日中は太陽熱で温まった熱を給湯に使い、そのまま排気し、夜は屋根の放射熱で冷気を取り入れるというものです。太陽熱利用なのでエコ系ブランド住宅にしばしば使われています。その中で住んだことがないので僕にはいいものかわかりませんが何か説得力がありました ( 論理があるからか ) 。予算の関係もありまして我が家では考えませんでしたが外部の空気を取入れ、それが動くのだから冬場は空気がかなり乾くだろうなあと想像されます。個人的には空気の乾きは決して望ましいことではないと思います。咽喉をやられやすくなるのではと思います。冬場には加湿したいです。また夏場の冷却効果がやはり弱そうな感じがします。多分2階などは輻射熱でかなり暑いのではないでしょうか。そういうことを含め ( うちの場合は単なるダクトファンだけなのでOMソーラーとは違いますが ) 空調設備というものをアクティブ、パッシブ、自然などいろいろ考察する余地があります。機械ものは一見論理的ですが、自然の空調に勝るものはなかなか難しいでしょう。落葉樹を使った考え方は一般的ですが組み合わせたりいろいろ考えてみるべきです。また台所の換気扇はどこから吸気するのか、この窓を開けると喚起、吸気はどうなるのか等考えられるものは考えた方がいいです。
設備についての取り組みはとても重要です。ソーラーシステムに限らずエネルギーについて考えるべきです。もし自家発電住宅が当たり前になれば町に電柱はなくなり、夏のせっかくの太陽の恵みを敵にすることもなくスマートな生き方ができます。車も太陽熱でクーラー動かしたりして、いいでしょ。フロの残り水の再利用や雨水の再利用 ( 雨水は植物には水道水よりいい感じ ) 、ごみの再利用 ( コンポストはかなり難しい部分もありそうですが ) など一般的に言われていることしかいえませんが、経済効率から含めて検討 ( はたしてその設備は必要か ) してみてはどうでしょう。エコエコ言ってちょろい商売にしている方もいますので、注意しながら。また、エコだからといって決してけしてダサいものはいけません。機能主義もバウハウスの様に機能美までいっていただきたい。スマートな生き方、美しい生き方を標榜するのがエコであるべきです。
 · 家具
我が家には家具はあまりありません。洗面の収納、玄関の靴収納、地下にある移動式収納庫。動かす事によってトラブルはおきます。
地下にある収納庫は足の長いタイヤと収納庫の強度のバランスが悪く故障しやすい。
洗面の収納は建てつけに問題があるのか使っていると外れてくる。
玄関の収納は配電盤を見るためには棚をはずすのですがはずしにくい。
家具は使い勝手に直接影響します。丁寧な設計、仕事を要求されます。特に運動する部分はタフでなくてはいけません。設計という静止したものを生活という生きた中に落とす配慮が重要になります。山嵜さんの事務所では何度も丁寧に故障に対処してくれています。ちょっと壊れ過ぎですが。 ( ありがたいことです。 ) 
 · 窓
冬場、二階の北側の窓は結露します。
ペアガラスをいれたのですが窓枠 ( アルミ ) 部分は特にいけません。
木製枠サッシや結露防止の処理がされているもの ( そんなのあるの? ) など特に窓枠について考察が必要です。断熱塗装剤では性能、耐久性はありませんかね。検討をお進めします。
 · 螺旋階段
柱のスパンが開き過ぎ。最終的にネットを貼って落下防止に対処しましたがデザイン的にいいものではありません。柱が多いとうるさい感じがありますがたとえば構造と落下防止の柱の太さの使い分けなどで対応できるのではないでしょうか。また横の落下防止柵はデザイン的にも飛翔感があります。
ネットは決して仮りの姿ではなくきっと外れることはないでしょう。なぜなら子供や老人 ( 自分自身でもある ) が絶えずいる、または訪ねて来るからです。階段を絶えず意識していればあまり事故も少ないのでしょうが家ではリラックしていますので事故は起こり得ます。小さい子や老人の傍にいる方なら分かると思いますが我が家の場合RCですから ( 固い ) また2層分の螺旋階段ですので、落ちたら生命の危険すらあります。
階段の板は木製を希望していましたがスティールのままでした ( スの家コンセプトですか ) 。これは個人的な好みもありますが、僕には硬質でした ( 僕の体質的問題もありまして、足が弱いのです ) 。予算がないのは施主のせいでしょうが螺旋階段のデザインの考察は重要です。
最近階段デザインのみの本を見ました。いいことです。
今回は建築家さんにはかなり痛い内容になってしまいましたが、始めに言ったように僕らはこの家がとてもいい家だと思っています。素人のたわごとは耳にしなくてもいいと思います。それでも施主になられる方には幾らか参考になるのではないのかなあと思い、思い切って書いてみました。施主と建築家はある意味戦いでもあります。もちろん家を作ると言う共通の目的の中ですることなのですから、向かう方向は同じです ( 喧嘩するのが目的ではなく、いい家を作ることが共通の目的であります ) 。山嵜さんは僕が思うになかなか理想の高い建築家であります。建物探訪の渡辺篤史さんの98年の本には山嵜さんに対てこんなふうに書いてます。〈妥協を許さない厳しい人と聞いています。建て主に成り代わって夢を膨らませ、家づくりを具現化していく。作品に対する本人の満足感もさることながら、建て主に対する「愛」が強い人なのではないか。〉と。
さすがに年月もたっているので山嵜さん自体も変わってきているのでしょうが前にも書きましたがなかなか強い建築家だと思います。だからと言って家はまず第一に住む人のものですから建築家のお作品にしない、 ( そういうものはだいたい何かが足りないように思う。なんだか住み手の愛が入りにくい感じとでも申しましょうか、建築的語彙が鼻に付くと言うか ) いい家を作るために施主の皆様には繰り返しますがしっかり戦っていただきたく思います。戦う方法はいろいろありますが喧嘩や口論するのが目的ではなく、いい家を作ることが共通の目的ですから、優しく押してみたり、強く引いてみたりいろいろやって見て下さい。
ファインは夢を膨らまします。雑誌などはいい例でしょう。しかし実際の家づくりには当たり前ですがバットもあります。それを嫌なものと考えるか、深みと考えるかは施主さまに落ちて来ます。
毎回バットな原稿に申し訳なさを感じています。結局僕の役回りはこんなところでしょう ( まるで無責任に… ) 。
我が家はいい家です ( またまたしつこく ) 。また上にあげた問題も改良できるものは定期点検などで話しをして、改良してもらったものもあります。家守り構想とリンクする部分もありますが、それにはまずいろいろ大変な部分もあるでしょうがご自分で設計した家に ( できれば他者のせいにできない一戸建てに、しかも過酷な夏暑く、冬寒いガラス張りの家に ) 身を置き、見えて来る問題点を体感し、 ( 頭ではなく ) 考えてみるのがいいと思います。表装を見て、そろそろ塗り替えですよと言うのより、深く物が見えると思うからです。ものが壊れると言う事がどれだけストレスになるか体感した言葉の方がリアルですから。
箱自体の建築に行き詰まっているのか、これからは設備だと言う建築家や、これからは家具だと言う建築家もいます。ちょっと待ってくれと思うところもありますが、確かにこれからは大切な目のいく部分になっていくことでしょう。設備、家具、目を瞑らずよりよいものをしっかり作りましょう。
今回の最後に我が家の設備でいいかなと思ったものを一つ…。
地下の換気扇は熱交換型のフィルター付のもの ( 花粉症対策 ) が入っています。これはほぼ毎日稼動しています。地下に空気の淀みがなく、地下の安定した温度 ( 夏涼しく<本当に涼しい>、冬は床暖房で実際の気温より体感的に暖かい、 ) をそれほど損なうことが少ない設備と思われます。外気が酷く汚れていないことや冬場の外気の温度が低すぎないことが前提ですがロスナイはいい感じかなあ…?。特に気密性の高い家におひとつどうでしょう。シックハウスよさようなら。 ( ちょっと嘘ぽ〜い ) 
次回は屋上菜園の予定です。
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