U2-HOUSE

09 家をたてました 「本の文章とネットの文章」

2003.08.11
今月は8月、夏休みなのでちょこっとだけにします。
今年の夏はなかなか暑くならないですね。8月2日にはやっと東京もつゆが開けたそうですが。と言ってるうちに、ガーっと暑くなって、台風も来て、また暑い...7月の最終週あたりに行った軽井沢は朝晩と涼しく、ストーブ生活になりました。朝食を取っていたら、息子が庭の木に猿を発見。よく見ると猿がそこいらの木々に数頭いるではありませんか。FM軽井沢では天気予報の後にモンキーリポートなるアナウンスがあり昨夜のねぐらはどこそこ付近だから周辺付近の方はご注意して下さいというものなのです。まさに宿泊先がその付近でした。夜中には猪か何か分かりませんがものすごい勢いでお庭を通って行くものあり。さすがに熊には会いたくないですが、自然のバランスが崩れてきているのか、人間様の横暴か、カラスならぬ熊のゴミ捨て場荒らしはちょっとした軽井沢社会問題になっているようです。
建築ものではとんぼの湯 ( 露天温泉いいよなあ〜 ) 、脇田美術館のアトリエはなかなか良かったです。バットなことを言えば外部的なるものを取りこんだ田崎美術館の建物は嫌いです。建築何とか賞をお取りになったそうですが僕にはつまらないです。サビニヤック店 ( ? ) はいいのですがあれで何で1,000円も入場料払うのと言う感じでした ( 維持するのは大変なのはわかりますが ) 。最近のブルータスで紹介されていた建築も宿泊先の通り道だったので発見しました。何かスゲーかったです。何でだろー何でだろー。
千の滝の散歩道で水遊びをしたり野生のクレソンを摘んだり、鹿島の森でランチをしたり、塩沢付近でフレンチしたり、丸山コーヒーでコーヒー話をしたり、いつもの様にオバカにお気楽に休暇を楽しんでまいりました。
それではいつもの様に夏向きではないバットな話をすこしだけ…。
最近では手紙やはがきでさえコンピュータ類で文章を打っていることが多いのでしょうが、書く事と何か違う感じがします。建築家さんの世界も図面は鉛筆からコンピューターへ変わってしまったことでしょう。鉛筆で書けば線の太さや濃淡等で建て前的には無限に表現ができることになります。器用な人は昔は特だったことでしょう。しかし重要なのは人間が認識できる範囲内で、論理的に瞬時に使い分けられることではないのかなあと思います。つまり線そのものが生きているうんぬんより、線と線の関係性、差異のがより重要なのではないでしょうか。また構造主義ぽいお話ですが線と同様文字自体にも言えることで、手書きの字の線の関係性で、個々人のキャラクター、思考まで表現されてしまいます。上手い下手が重要な方や ( 学校で習ったきれいな字型 ) 、伝達媒体としてしか認識していない方 ( コンピュータ文字型 ) 、個を表現したい方 ( 独創文字型 ) 、アルファべ型、怒りの文字等本当にいろいろです。文字そのものについてこれ以上書くつもりはありませんが、本の文章とネットの文章もまた違うものです。
ホームページの原稿を堤さんから依頼された時、<できれば一月に一度、 ( できなければ2月に1度 ) 締切は月末で、内容は何でも好きなようにと言う事だった。それを出来る範囲で協力しようと思った。>どうやって書こうかなあと考えてしまいました。
ホームページの文章は本等に比べると圧倒的に質量感がない。紙の手触りの良し悪しや、本の大きさ、厚さや重さ、ページを ( 紙を ) 捲る感覚等がない。消そうと思えばあっと言う間に消え、増殖しようと思えばこちらもあっと言うま。編集性にたけているのも特徴のひとつです。文章スタイルでは本の文章 ( 論文も含めて ) は決断して書く事が重要だけど ( 簡単に言っちゃえば、言い切るということか。 ) こちらはそうでない方がこの媒体にはふさわしいのかなあ。なんて…。
念頭に置いたのは、今回のネット上の文章は迷いや優柔不断をそのまま文章にしたいと思って書いています。リアルを共有できる媒体だからだ。
また質量感がない媒体はそのまんま文章の質まで左右してくると思う。どこか無責任な、たとえ名前があったとしても1個人の匿名者的な感じがする。より主観的だ。
これにしよう。たぶんこの文章を紙におこし、質感のあるものにしたらかなり違うものになったであろうが、ネットの文章だから山嵜さんはちょっと困るかもしれないけれど、好きに書けと言われたのだから思ったことを素直に無責任に書こうということです。 ( すいません。 ) 
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